ぼっち大学院生のつれづれ

そこらへんに転がっている大学院生の日常です。主に読書、カメラ、ロードバイク、研究について

福沢先生の「學問のすゝめ」について、世間が誤った解釈をしているので

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」

 

つまり、世の中というのは、みな平等な世界なのです。

 

と、福沢諭吉先生が仰られたと、多くの方が認識されておりますが、まあ確かに学問のすゝめには書かれているのですが、この節の続きをしっかりと読まれた人がどれだけいるでしょうか。

 

まあ、めちゃくちゃざっくりと要約いたしますと

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずなんて言われているけども、確かに生まれた段階では皆同じスタートラインだけども、世の中にはいろいろな格差が存在しているよね。この格差を無くすなんてことは出来ないんだ。じゃあ、どうすればいいの?って困っている君に答えをあげよう。学問に励みなさい。役に立つものを学べび続ければあなたは賢人になれるから。ほんでもって、生涯を通して学び続けなさいね。稼いだ金を自己投資にペイすることで、もっと成長できるで!!みんなで賢くなって良い社会を作っていこうや!!!」

 

みたいなことを学問のすゝめでは言っているのです(うろおぼえで間違っている箇所があるかもですが)。

 

現代でいうところの、ハウツー本だとか自己啓発本みたいなものだったのですねー。

 

福沢先生いいことを仰る。

 

詳しく書いてあるサイトがありましたので、興味を持たれた方は御一読ください。

天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと云へり

福澤諭吉 「學問のすゝめ」

 

天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと云へり。されば天より人を生ずるには、萬人 皆同じ位にして、生まれながら貴賤上下の差別なく、萬物の霊たる身と心の働を以て天地の間にあるよろずの物を資り、以て衣食住の用を達し、自由自在、互い に人の妨をなさずして各安樂にこの世を渡らしめ給ふの趣意なり。されども今廣く此人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、 富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、其有様雲と泥の相違あるに似たるは何ぞや。其次第甚だ明なり。實語教に、人学ばざれば智なし、智なき者は愚人な りとあり。されば賢人と愚人との別は學ぶと學ばざるとに由て出來るものなり。又世の中にむづかしき仕事もあり、やすき仕事もあり。其むづかしき仕事をする 者を身分重き人と名づけ、やすき仕事をする者を身分輕き人と云ふ。都て心を用ひ心配する仕事はむづかしくして、手足を用る力役はやすし。

故に醫者、学者、政府の役人、又 は大なる商賣をする町人、夥多の奉公人を召使ふ大百姓などは、身分重くして貴き者と云ふべし。身分重くして貴ければ自から其家も富で、下々の者より見れば 及ぶべからざるやうなれども、其本を尋れば只其人に學問の力あるとなきとに由て其相違も出來たるのみにて、天より定たる約束にあらず。諺に云く、天は富貴 を人に與へずしてこれを其人の働に與る者なりと。されば前にも云へる通り、人は生れながらにして貴賤貧富の別なし。唯學問を勤て物事をよく知る者は貴人と なり富人となり、無學なる者は貧人となり下人となるなり。

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斯る愚民を支配するには迚も道理を以て諭す べき方便なければ、唯威を以て畏すのみ。西洋の諺に愚民の上に苛き政府ありとはこの事なり。こは政府の苛きにあらず、愚民の自ら招く災いなり。愚民の上に 苛き政府あれば、良民の上には良き政府あるの理なり。故に今我日本國においても此人民ありて此政治あるなり。假に人民の徳義今日より衰へ て尚無學文盲に沈むことあらば、政府の法も今一段嚴重になるべく、若し又人民皆學問に志して物事の理を知り文明の風に赴くことあらば、政府の法も尚又寛仁 大度の場合に及ぶべし。法の苛きと寛やかなるとは、唯人民の德不德に由て自から加減あるのみ。人誰か苛政を好て良政を惡む者あらん、誰か本國の富強を祈ら ざる者あらん、誰か外國の侮を甘んずる者あらん、是即ち 人たる者の常の情な り。今の世に生れ報國の心あらん者は、必ずしも身を苦しめ思を焦すほどの心配あるにあらず。唯其大切なる目當は、この人情に基きて先ず一身の行ひを正し、 厚く學に志し博く事を知り、銘々の身分に相應すべきほどの智德を備へて、政府は其の政を施すに易く諸民は其支配を受て苦しみなきやう、互に其所を得て共に 全國の大平を護らんとするの一事のみ、今余輩の勸る學問も專らこの一事を以て趣旨とせり。

    明治四年未十二月

 

はなはだどうして、「学問のすゝめ」でございました。

 

受験生のみなさまセンター試験お疲れ様です。二次試験まで引き続き勉学に勤しんでください。がんばれ受験生。

 

かしこ。

 

 

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

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